デジタルコンテンツカタログ 2023

ウチダ デジタルコンテンツカタログ Vol.133


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実践を広めましょう」しかし、このフェーズで止まってはならないと、中川教授は念を押す。先生が「ここは紙で。ここはデジタルで」と指示するのではなく、子ども一人ひとりが、「どんな教材を、いつ、どのように使うか」を判断し、学びを進めていく第3フェーズに進まねばならない。「しかし、第2フェーズを極めれば、自然と第3フェーズに移行するものではありません。第2フェーズと第3フェーズの間には、『大きな壁』があると、わたしは考えています。なぜなら、第3フェーズに進むには、先生の意識改革が不可欠だからです。『教科書を教える』から、『教科書で学ばせる』へ。先生主導の授業から、子ども主導の学習へ。いわば、教師の授業観、指導観そして教育観を変えなければ、この第3フェーズには進めません」そのため、今後は第3フェーズの成功事例を広く周知していく必要があると、中川教授は言う。「今までは先生が教えるために使うCT活用でした。でもこれからは子どもIが学ぶためのICT活用へと、ガラリと変わります。授業を変える、教育を見直す、またとないチャンスとも言えます。個人的には、特に若い先生方に期待しています。従来の指導観や教育観に縛られることなく、授業を変えていってほしいですね」次期学習指導要領を検討する際には、「紙の教科書をやめて、デジタル教科書に一本化すべき」という議論が起きることも予想される。「新しい教育にデジタル教科書は不可欠。先生はデジタル教科書に慣れ、ICT活用指導力を高めましょう。教育委員会は、有効な研修方法を確立し、ネットワーク環境を強化するなどして、活用をさらに促しましょう」自由度大自由度低ⓒ中川一史第3フェーズ●児童生徒自らが適切な活用法を判断する●個別最適な情報収集力、整理・分析力、発信力をつける第2フェーズ●デジタルならでは、の使い方を追究する●従来の教材・教具との関連を検討する第1フェーズ●アイディアを広げてみる●とにかく使ってみる教師主導児童生徒主導教育デジタルコンテンツカタログ202357めやすくなります。教育委員会は、こうしたコンテンツの整備を図らねばなりません」また、学習者用デジタル教科書は、家庭学習でも用いるのが前提だ。ここにも、大きな意味がある。「今までの紙の教科書は、『先生が教えるための教科書』でした。しかしデジタル教科書は、『子どもが学ぶための教科書』へ変わります。『読む教科書』から、自分の気づきや意見を書き、友だちと対話する材料にする『書く・共有する教科書』になります。教科書の概念そのものが大きく変わる、大きな過渡期に、今わたしたちは立っているのです」デジタル教科書活用には「3つのフェーズ」があるこのデジタル教科書を、どう活用していくか。3つのフェーズで考えましょう」と、中川教授は提言する。「第1フェーズは、まずはとにかく使ってみる。使いながら、活用のアイデアを広げていく段階です。『紙かデジタル、どちらを使うべきですか』と、よく尋ねられますが、『紙もデジタルも』と答えています。二択ではないし、デジタル教科書を使わないという選択肢はありえません」そして、デジタルならではの使い方を追究したり、従来の紙の教科書や教具との関連を検討する第2フェーズへと進んでいく。「紙の教科書が、すぐなくなるわけではありません。紙とデジタル、それぞれの良さは何か、どう組み合わせれば効果的かと検討し、先生間で共有して


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